酒井 弘一
加茂町口畑に「恭仁山荘」があります。戦前に活躍された京大教授の内藤湖南氏(東洋史学者、1866年生、1934年没)が晩年を過ごした住居跡です。玄関に大きな石碑があります。楠の巨木があり、秋にはサルが実を食べによく来ます。
30年ほど前、関西大学の財産になりました。大学からの委託によってご近所の方々を中心に管理をして来ました。入口には「関西大学恭仁山荘」の看板があります。去年その看板が突然撤去されたそうです。管理をされていた方々が、一体どうなったんだろう?と心配して知らせてくれました。

見ると看板は跡形もありません。山荘はと見ると、広い庭は草がぼうぼうに生えています。まったく利用されない山荘は見るも無残です。サル、イノシシなど鳥獣の住みかにされそうです。

関西大学に電話をしました。管財係の方は、「消防署から宿泊施設として不適格だと指摘されたので今後の方針が決まるまで一旦閉鎖した」と言われます。相楽中部消防本部にどんな問題点か?と聞くと「最近立ち入り調査をしたことはないし、指導もしていない」と言います。
何が本当なのか?狐につままれた感じです。大学が施設を閉鎖したこと、管理ができていないことだけは事実です。
『内藤湖南顕彰会』があります。湖南の息子さんと親交のあった加茂の方たちの会です。私が内藤湖南を知ったのは、その会が主催した展示会(約35年前)の折でした。湖南の故郷である秋田県にも同じく顕彰会があります。この方たちが山荘の現状を知れば、どれほど心を痛めることでしょう。

市の文化財保護室にも「何とかならないか」と声をかけました。職員の多くは山荘のことを知っていました。
なんとかして山荘を守りたいと思います。内藤湖南氏や山荘を知る方々の力を貸していただきたいです。
☆先週号で誤解を招く表記があり、配達日・地域によっては、お届けした方にご迷惑をかけました。☆
偉大な内藤先生の「恭仁山荘」を訪れたいです。交通アクセスがよくわからずにいます。我が家の親戚が、昔日内藤先生と親しく交際していました。 敬具。